車のお話C なぜATだらけ?


 1980年代初め頃でしたか、ヨーロッパのレンター会社では、MTが普通に選べました。
1989年アメリカへ行く機会があって、空港でMT車を希望したのですが無く、レンターカーカウンターを回ったのですが
無いと言われAT借りる事になりました。

 レンターカー会社としては、不慣れな扱いによって車を壊されるリスクを考えると、AT(オートマ)の方が安心である事は
間違いないようです。
 雪の降る地域へ冬に行った時には不安ですので、結構ミッション車が欲しいと食い下がった記憶が有りますが。

 当時は、フリーウェイを走っていても、バンパーを針金で吊るして走っている車や汚いサビ錆びのボロ車が良く走ってました。
2,000年代に入ると、その様な車を見かけることもなくなり、アメリカも裕福と言うか少しガソリンの消費を気にするようになって
きたものだなあ〜と感想をもったものです。(レギラーガソリン1ガロン$1.20が平均でしたが徐々に高くなってきた時代です)
ピカピカの車は大概日本車です。

空港で借りるレンターカーは、せっかくのアメリカですのでアメ車を借りますが、
車メーカーの戦略なのか、新車が多く1,000マイルも走っていない車をあてがわれる事も普通です。しかし、これが曲者でして、
初期の故障が多いようです。私も一度、深夜に借りてフリーウェーを走り始めて1時間ほどしたら、急に止まりかけたり
速度が安定せず最低速度ギリギリになんとか走る状態に陥りました。
名前の知れたレンター会社でしたので近くの空港で地方の空港で走行距離のある車と交換してもらいました。
 今では車の品質やアメリカの車のエンジンなど結構日本製(電気配線も含め)を使っているので問題はないと思うのですが、

 以後、アメリカで借りる時は出切るだけ走行距離のある車を借りる事にしています。


オートマ車の氾濫も、海外狙いの結果(アメリカ輸出を見据えて)が正解かもしれませんが、それ以外に新車補償期間を
長めに設定するには、どうしてもクラッチとミッションの寿命を延ばして、ミスからくるエンジントラブルを無くす必要があります。
AT車は、MTより10万円程高かった時代が、現在ではミッション車の方が10万円高いか、オプションでの別料金になっているようで
逆転してしまっています。これも、数の生産コスト(部品調達単価)がなせる結果なのでしょう。
ミスをしなければ、車は長持ちします。AT採用で、5万Kmから10万キロへ、5年補償から10年補償にして広告に打ち出す事は
とっても効果的な広告です。

 日本で車の販売に長期間の補償を付けるには、MTではユーザー(お客)の乗り方にケチを付ける事が出来ません。
 日本では、運転免許を取る技能で、チェンジ等を徹底的に(本当はいい加減こなせれば)免許を取れるのです。
おそらく車メーカーにとってはクラッチ等の関連で頭の痛いトラブルは結構あったと想像します。

AT化は、ユーザーのミスまでメーカーの責任にならない事でしのげる長期補償の担保ではないでしょうか。

 しかしそうは言っても、ミスをしない人間はいません。
コンビニに飛び込んだり、駐車タワーを突き破って転落したりするミスは、おそらくATです。
MTでは起こり得ず、故意に突っ込まないと出来ません。

 そういう意味では、運転する者のミスを明確にする事で、メーカーの責任を逃れることができます。

 人間だから、ミスをするという前提に立って、物造りをしていないと考えるのですが、さりとて、当らない、飛び出してきたら
感知して止まる等、本来人がやるべき作業を、電子機器でまかなう方法で、車の価値と価格を上げる材料にすることが
本当の方向だろうか・・・・・・。そんな装置が開発されたとしても、解決すると思われますか?
 人間はそんなに立派ではない動物です。

※楽ではなく、ひま※

 便利すぎる・又は楽すぎる分 その余裕を、より運転する注意力に回して安全な気配りに精を出すより、
便利になった分、他の事をするのです。
 AT車が増え、クラッチを切る必要がなければ、ウインドウに左足を上げてふんぞり返って走るドライバーや、
運転が暇になった分、爆音音楽を鳴らすバカ者・携帯電話に夢中で、ふらふらゆっくり後を引っ張りながら、先頭を走る車等、
増えるだけのような気がするのです。